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該非判定の難しさ

該非判定に携わり始めた頃はそのうち魔法のような方法を編み出せるのではないかと思っていましたが、該非判定というものは文字通り輸出貿易管理令別表第1及び輸出貿易管理令別表第1に基づく経済産業省令、通達を全て見ていくしかないと(10年以上経った)今では思っています。

輸出貿易管理令別表第1及び輸出貿易管理令別表第1に基づく経済産業省令、通達は約300ページ位ありますので慣れないと数日掛かってもおかしくありません。

規制項番は一つとは限らない

複数の項番で規制されているものがあります。
複数の項番で規制されているものがあるので規制項番を一つ見つけてもそれで終りにすることはできず、輸出貿易管理令別表第1全部に目を通す必要があります。

(例)

工作機械 2項(12)1 6項(2)

ロボット 2項(15) 6項(7) 12項(5) 14項(7)

例えば工作機械は、2項(12)1と6項(2)で規制されています。工作機械の該非判定に当たり2項(12)1で判定し非該当であるからといってそこで判定を終了すると6項(2)に該当する場合を見逃すことになり、誤判定に繋がります。

複数の国際レジームがある

何故このようなことが起きるかと言えば、一つの原因は輸出貿易管理令別表第1は複数の国際的な合意に基づいているためです。

下表に輸出貿易管理令別表第1と国際レジームの関係を示します。

2項(12)1の規制は原子力供給国グループ (NSG) での合意に基づくものであり6項(2)の規制はワッセナー・アレンジメント (WA) に基づくものなのです。


又、ロボットは6項、12項、14項とワッセナー・アレンジメント (WA) の中でも複数項番で規制されています。

これは例えば12項は海洋関連であり、水中用のロボットが6項とは別に規制されていることによります。油断できません。


輸出貿易管理令別表第1 国際レジーム
1項 武器 (防衛装備移転三原則)
2項 原子力 原子力供給国
グループ (NSG)
3項
3の2項
化学兵器関連
生物兵器関連
オーストラリア
グループ (AG)
4項 ミサイル ミサイル関連機材技術
輸出規制 (MTCR)
5項 先端材料 ワッセナー
アレンジメント (WA)
6項 材料加工
7項 エレクトロニクス
8項 コンピュータ
9項 通信関連
10項 センサー・レーザー
11項 航法関連
12項 海洋関連
13項 推進装置
14項 その他
15項 機微品目



貨物のマトリクス表

約300ページ位ありますと書きましたが同じものが「貨物のマトリクス表」というエクセルのファイルで、経済産業省安全保障貿易管理政策課のホームページにあります。

エクセルのファイルなので検索機能が使えます。

用語の読み替え

問題は一般的に使われている用語と法令上の用語とが異なることがあることで、経済産業省はベアリングは軸受、バルブは弁などのように読み替えて検索するよう指導しています。

尤も、読み替えが難しいものもあります。

例えば「GPS」は、4項(18)ではアビオニクス装置として、11項(4)では衛星航法システムからの電波受信装置として規制されています。

「GPS」の規制項番に検索で辿り着くためには経験や幸運が必要そうです。

検索の限界

さて、検索は規制項番を見つけるのに大変有用ですが、検索でヒットしなくても、本当に規制項番がないのか、検索に使った用語が不適切であったのかは分からず、検索をいくらやってもそれだけでは非該当という結論は出せません。或いは仮にヒットしたとしても、それ以上ヒットするものがあるのかないのかも分かりません。

そのように考えると冒頭の「該非判定というものは文字通り輸出貿易管理令別表第1及び輸出貿易管理令別表第1に基づく経済産業省令、通達を全て見ていくしかない」ということに戻ります。


規制項番がなければ非該当です。規制項番があればその項番で判定します。

迷わず判定できる場合もあればCISTECの刊行物を参照するなど調査が必要な場合もあります。

(2018.10.13)


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